過去18〜20か月間、まるで虚空に向かって叫び続けているような感覚でした。私たちの「米国原油生産のリアルタイムデータ」は2023年後半にかけて頭打ちの兆しを見せ始め、そこから私たちは一貫していくつかの重要なポイントを発信し続けてきました。そしてようやく最近になって、それらが徐々に主要メディアでも取り上げられるようになってきたのです。
米国のシェールオイルは、天然ガスの比率が高まっています(=“gassier”)。
米国の原油生産の成長はすでに頭打ちとなっています。
今後の成長はすべて、NGL(天然ガス液)と天然ガスに依存することになります。
市場関係者の一部はようやく「米国の原油生産が伸び悩んでいる」という現実を受け入れ始めていますが、その実態の深刻さは、まだ十分には理解されていません。そしてこの混乱の原因のひとつが、EIA(米国エネルギー情報局)が2023年に米国原油生産の統計手法を変更したことにあります。
2023年12月20日、私たちは「米国の原油生産は実態よりも“見せかけ”が多い(US Oil Production Is A Lot More Fluff Than Substance)」というタイトルの公開レポートを発表しました。その中で、EIAの統計手法の変更について詳しく解説しています。
簡潔に言えば、EIAは2022年末の米国原油生産量を過小評価し、2023年末の生産量を過大評価したため、実際よりも大幅に高い生産成長率が示される結果となりました。
この手法変更によって、多くの人々が「米国の原油生産は再びシェール全盛期(2017〜2019年)の勢いを取り戻した」と錯覚することになったのです。しかし実際の姿は、むしろピークに近いものでした。
2024年を通じて私たちは繰り返し、「米国シェールの原油生産成長はピークを迎えつつある」という点を強調してきました。そして、2024年11月8日には、「米国の原油生産はすでにピークに達した ― 今こそエネルギー株を保有すべき理由(The Peak In US Oil Production Is Here And Why You Need To Own Energy Stocks)」という重要なレポートを発表しました。
それ以降、以下のような動きが見られました:
ダラス連銀の調査では、生産業者が「原油価格の低迷」と「生産拡大の難しさ」への懸念を表明。
スコット・シェフィールド氏(Pioneer Natural Resources)がCNBCのインタビューで「ティア1(最上級)の在庫が枯渇しつつある」と公言。
ハロルド・ハム氏(Continental Resources創業者)も「米国の原油生産はピークを迎えた」と言及。
さらに私たちがパーミアン地域の個別生産者から収集しているインテル(現場情報)によっても、「原油生産の伸びを上回るペースで随伴ガスの生産が増加している」という私たちの見立てが、現実のものとなりつつあります。
もはや、私たちの主張は主流メディアにも受け入れられ始めていると言えるでしょう。